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「かきくけこ、さしすせそ」を測定比較
(日本語音声の分析7)

 
計測日時 2002年9月30日 12:00
分析日 2002年10月22日
計測場所 愛知県名古屋市
マイク SONY ECM-MS957
マイクアンプ SONY DAT WALKMAN TCD-D100
パソコン DELL INSPIRON 7500
OS Windows 2000 Professional
測定分析ソフト DSSF3
WAVE sound file: voice71.wav (44.1kHz / Stereo / 8sec / 1.34MB)
voice72.wav (44.1kHz / Stereo / 7.48sec / 1.25MB)

「かきくけこ」を測定しました。ここでは積分時間0.01秒、ランニングステップ0.005秒で再計算表示させています。
測定方法はほぼ従来どおりですが、X軸、Y軸 ズームなどの新機能を使用してみました。

SAでの分析条件です。

前回にひき続きτe最小のACFを求めていきます。

「かきくけこ」と5個の測定がしてあります。グラフは音圧レベル(SPL)の時間経過を表しています。

最初の「か」の発声は、「あかさたな」のときとτ1等の数値がちがいます。「か」でもいろいろな「か」があります。日本語で「可」「蚊」というように、ひとつの仮名にも様々なテンプレートが必要です。

「か」実験後0.68秒、発声後40msec
τ1=3.31msec / φ1=0.23 / τe=4.5msec / Φ(0)(SPL)=-18.49dB

今回の「か」を新機能で分析します。

τ1の時間経過です。「か」という言葉を0.64秒から開始しています。音声の発声開始ポイントは正確に捉えるのは難しいのですが、このグラフのように、τ1、ピッチでとらえることもできそうです。0.68秒から0.685秒が低い周波数です。0.72秒後はほぼ一定です。

同じくτeのグラフです。0.64秒から発声を開始しています。

同じくφ1のグラフです。

Φ(0) 音圧レベルのグラフです。

「き」実験後2.35秒、発声後35msec
τ1=0.18msec / φ1=0.42 / τe=2.95msec / Φ(0)(SPL)=-25.74dB

τ1のグラフです。

τeのグラフです。

φ1のグラフです。

Φ(0)音圧レベルのグラフです。

すべてのデータが多少時間を前後にずらしても同じような数字とわかるはずです。

「く」実験後4.015秒、発声後20msec
τ1=1.81msec / φ1=0.21 / τe=2.10msec / Φ(0)(SPL)=-17.02dB

「け」実験後5.585秒、発声後20msec
τ1=0.32msec / φ1=0.33 / τe=3.87msec / Φ(0)(SPL)=-28.86dB

「こ」実験後8.665秒、発声後40msec
τ1=0.7msec / φ1=0.16 / τe=3.22msec / Φ(0)(SPL)=-39.14dB

「さしすせそ」と5個の測定がしてあります。グラフは音圧レベル(SPL)の時間経過を表しています。

「さ」実験後0.41秒、発声後25msec
τ1=0.09msec / φ1=0.59 / τe=2.86msec / Φ(0)(SPL)=-38.98dB

前回の「さ」はτ1=0.09、φ1=0.64、τe=2.48、Φ(0)=-35.09でしたから、ほぼ同じです。

「し」実験後1.77秒、発声後50msec
τ1=0.18msec / φ1=0.48 / τe=3.56msec / Φ(0)(SPL)=-29.75dB

「す」実験後3.4秒、発声後110msec
τ1=0.09msec / φ1=0.37 / τe=2.79msec / Φ(0)(SPL)=-27.77dB

「せ」実験後4.795秒、発声後30msec
τ1=0.11msec / φ1=0.50 / τe=2.51msec / Φ(0)(SPL)=-41.51dB

「そ」実験後6.355秒、発声後60msec
τ1=0.11msec / φ1=0.33 / τe=3.28msec / Φ(0)(SPL)=-40.7dB

前回のテンプレートの表に、今回測定した「かきくけこ、さしすせそ」のデータを追加します。(計算条件はすべて積分時間10msec、ランニングステップ5msec)

  実験開始後 (ms) 発声後 (ms) t1(ms) f1 te(ms)
あ ドの音程 0.625 35 1.13 0.27 6.80
あ レの音程 2.040 10 1.22 0.32 4.30
あ ミの音程 3.575 20 1.20 0.32 6.27
あ ファの音程 5.075 20 1.22 0.38 4.94
あ ソの音程 6.605 25 1.20 0.66 7.76
あ ラの音程 8.140 5 1.18 0.49 6.45
あ シの音程 9.650 10 1.30 0.30 4.91
あ ド(高)の音程 11.255 20 1.25 0.50 4.45
あ 母音比較   5 1.18 0.44 3.98
  10 0.27 0.97 6.78
  10 2.18 1.00 5.05
  15 0.29 0.50 15.48
  15 1.18 0.35 21.80
  25 1.20 0.45 8.46
  10 1.86 0.46 6.26
  60 0.09 0.64 2.48
  10 1.93 0.43 5.07
  25 4.35 0.98 21.94
  40 0.70 0.16 3.22
  15 4.08 1.00 8.86
  15 0.11 1.00 10.09
  20 2.59 0.18 7.29
  5 0.25 0.69 7.42
  40 3.31 0.23 4.50
  35 0.18 0.42 2.95
  20 1.81 0.21 2.10
  20 0.32 0.33 3.87
  40 0.70 0.16 3.22
  25 0.09 0.59 2.86
  50 0.18 0.48 3.56
  110 0.09 0.37 2.79
  30 0.11 0.50 2.51
  60 0.11 0.33 3.28

同じ文字にもいろいろな読み方があるので、テンプレートに追加します。文字は音声で伝えることができますが、音声は文字では伝えきれません。知的に高度になればなるほど音声の分析は難しくなるのかもしれません。

October 2002 by Masatsugu Sakurai


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