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2002年に心音測定1を行ったころは、心音は心臓病のための診断システムのつもりでした。2003年には聴診が非常に重要で聴診のみでもかなりの病気が診断できるということから、健康診断や、聴診を支援する位置づけに考えていました。
ところが、今年には脳梗塞などの知識をつけるにつけて、心臓が不整になって、凝血すると、脳はダメージを受ける。一度ダメージを受けると、脳は直らない細胞であることがわかりました。人間にとって、一番大事なのは、脳を守ることだ。となると、脳にいく血流を管理する心臓の動きを監視して、不整が起こらないように、負担をコントロールすることが重要なのがわかってきました。
というのは、血は流れの規則正しさがあるうちは、固まらないのですが、不規則になると、固まる性質を持っているからです。
またいろいろ、情報を集めてみると、食べたり、飲んだり、治療を行うことは、患者さんにとっては大きな負担であり、心臓に対する負荷を調べることにより、安全度が増すことが解りました。
2003年の分析について、積分時間0.01秒の分析については、心音測定7などでも、もっと高時間解像度な分析を行っているのと、この計算条件ではどちらにしろ心臓の物理的な動きと結びつけるには、無理があります。ここで再分析するのであれば、分析の部分は書き直して、新しい心音測定5の加筆部分に続く分析とします。
2004年7月22日 1 加筆終了
胸の聴診はとても一般的です。胸で音を出す臓器は肺と心臓の2つですが、他の病気が診断できることもあります。肺と心臓の音は、単純なようで実はとても複雑です。経験のある医師とない医師では診察だけで診断できる範囲に大きな差があります。病気がないことは聴診だけである程度わかりますが、病気がないことがわかるだけでも、大きな貢献です。病気がある場合には、治療が複雑になることが多いため、さまざまな二次的な検査が必要になります。
今回は心音の場合ですから「肺の聴診4」冒頭の記述の5番までの続きです。そのため6番からつづけます。
6.心不全
心臓の機能が低下し、全身の血液の流れが滞った状態です。血液は肺や皮膚などにたまり、聴診を含む全身診察で診断できます。心不全の程度まで聴診でわかります。
7.弁膜症
心臓には血液を一方に送りつづけるはたらきがありますが、血液が逆流せずに、つねに一定方向に流れるよう、各部に弁という逆流防止の仕組みがあります。この弁がこわれたり、硬くなったりすると、血液が流れにくくなったり逆流したりして、最終的には心不全になってしまいます。心臓には4つの弁がありますが、どの弁の調子が悪いのか、それは壊れているのか、あるいは硬くなっているのか、などを判断することができます。
8.先天性心臓病
生まれつきの心臓病の多くは特徴的な心音があります。聴診によって診断することができます。
9.不整脈
脈の打ち方が規則正しくなくなるものです。多くの場合は軽症で放置しておいて良いものですが、稀に突然死につながる危険なタイプの不整脈もあるので注意が必要です。
これは脈をとってもよいのですが、聴診でももちろん診断できるそうです。
10.心膜炎
心膜とは、心臓の周囲を覆っている袋のような膜です。ここで炎症が起こると、心臓の動きが悪くなり、心不全になることがあります。心膜炎も聴診で診断できるそうです。
ここまでの医療部分の知識は「医療機関の実践的利用法」を参考にさせていただきました。
2004年7月23日 2 修正開始
ここでは、心音測定5の最新の加筆分で、Ⅰ音、Ⅱ音などの音の継続時間がわかったので、それぞれに対して適当な積分時間で、スペクトラム分析を行います。
これが、計算条件です。今までの分析と違うのは積分時間を0.1秒にしています。これはⅠ音やⅡ音(共に0.18秒くらい)をスペクトラム表示するためです。またA特性を使用しています。これは聴診したときの音色を分析したい(人の耳と感覚的に音の高さなど分析結果ををあわせたい)ためです。
WAVE表示です。現在測定開始後4.2秒を開始区間にしています。それはⅠ音の開始にあわせています。(心音測定5)終了はここでは設定が0.1秒の積分時間ですから、0.1秒後の4.3秒です。ここにはちょうどⅠ音Ⅱ音と次のⅠ音の振幅、時間のグラフです。X軸は8倍に拡大してあります。
ちょうど上の4.2秒から4.3秒の0.1秒の区間に対するスペクトラム表示が下の画像です。ここでは特徴的な、1470Hzの周波数成分が観測されます。他音色としては3KHzのその倍音や。さらに6KHz、すこしかわったものとしては5.5KHzのピークも見られます。Ⅰ音の前半(開始後0.1秒間)は1.4,3,5.5,6 KHz の合成です。もちろん1.4KHzが代表周波数です。
X軸を16倍の拡大して、Y軸を2倍に拡大してあります。また青い区間はⅠ音の後半として開始を測定開始後4.275秒にして終了を0.1秒後の測定開始後4.375秒にしてあります。
ちょうど上のⅠ音の後半として開始4.275秒にして終了4.375秒の区間に対するスペクトラム表示が下の画像です。やはり1428Hzの周波数成分が観測されます。他音色としては3KHzのその倍音や。さらに5KHz、9.5KHzも見られます。Ⅰ音の前半(開始後0.1秒間)は1.4,5,9.5KHzの合成です。もちろん1.4KHzが代表周波数です。
同様にⅡ音の分析を行います。下の画像はWAVEの振幅、時間のグラフ(X軸は8倍)です。現在測定開始後4.54秒を開始区間にしています。終了はここでは設定が0.1秒の積分時間ですから、0.1秒後の4.64秒です。
ちょうど上のⅡ音として開始4.54秒にして終了4.64秒の区間に対するスペクトラム表示が下の画像です。やはりⅠ音の前半と同じ1470Hzの周波数成分が観測されます。他音色としては3KHzのその倍音や。さらに5KHz、7KHzも見られます。Ⅰ音の前半(開始後0.1秒間)は1.4,5,9.5KHzの合成です。もちろん1.4KHzが代表周波数です。スペクトラムの分析は終了し、ACFのグラフ表示の分析を行います。
Ⅱ音のACF表示です。X軸は0から100msecまで表示されています。このランニングACF分析で、0.1秒の積分時間の計算条件では、この緑の点線では、値はわかりませんが、下のデータテーブルに値が載っているので値がわかります。ここではτ1として0.68msecが、緑の点線で表示されています。1000をこれらの数値で割れば、周波数成分が計算されます。計算すると、0.68msecは代表周波数1470Hzをあらわしています。低い周波数成分では10msecの100Hzの成分や、23msecの43Hzの周波数成分を持っています。ただ、これでは音色を形成するところの0-10msecまでのACF波形がよく確認できませんので、適当なサイズにX軸を拡大してみます。
上のACFのグラフを、X軸方向に16倍に拡大しました。これをみると、積分時間0.1秒の分析ではⅡ音は基本周波数4.2msec 238Hzで、代表周波数1470Hzの音です。この拡大されたACFの波形表示で、Ⅰ音Ⅱ音を比較してみます。
これがⅠ音の前半のACFの波形です。Ⅱ音とは二つ目の山から波形が大きく異なります。
これがⅠ音の後半のACFの波形です。Ⅰ音とはすべてほとんど同じですが、Ⅱ音とは二つ目の山から波形が大きく異なります。
今回は、まず最初に、心音のⅠ音と、Ⅱ音のスペクトラム分析を行ってみました。分析結果としては、周波数などは、それぞれの分析に書いてありますので、ここでは繰り返しませんが、総括するとスペクトラム分析ではⅠ音もⅡ音といっても倍音など高次の周波数成分の違いを除き代表周波数はほとんど同じです。また、Ⅰ音はA少し音の高さが下がった後半がついたⅡ音の約2倍の長さの音です。
続いてランニングACFのACFの波形からの分析では、Ⅰ音のACFの波形は前半後半ほとんど同じなので、Ⅰ音は持続時間がⅡ音の2倍の音といえます。またACFの波形はⅠ音Ⅱ音ともに異なる特徴があります。具体的には 遅れ時間1msec から 4msec の4個のピークがⅡ音にははっきり確認できます。1音はその間が抜けているような波形です。原因としては、1音の低域の成分が強いからです。基本周波数以上の成分がACFで、簡略化されます。
心臓の動きとしてはⅠ音は心臓から、肺や全身に血液を送るために、4つの弁を操作し絞りだし、血液を送り出す。Ⅱ音は心臓に血液をためるために、4つの弁を操作し膨らんで血液をためるという違いがあります。
2004年7月23日 2 修正終了
April 2003 by Masatsugu Sakurai