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コンサートホールの測定3
SAによる分析

コンサートホールの測定2」と同じNo.5の位置の分析です。

125Hzのインパルス応答のX軸をズームしています。スピーカーから1.25KHzの周波数が出ています。

250Hzです。直接音、反射音ともこれだけみていても、明確ではありません。

500Hzです。全周波数で決定した直接音や反射音の到着時間を当てはめています。このときスピーカーは5KHzの音を実際は出しています。

1kHzです。

直接音、初期反射音のロジックはコンピューターのエネルギー最大の場所ををとらえています。直接音に対する初期反射音の遅れ時間は左側⊿t1Lが31.04msec、右側⊿t1Rが29.79msec、左右のエネルギーの平均は⊿T1LRは、30.41msecですが、これは目で確認できる精度ではありません。必要性は別として、計算値は0.03041秒です。

500Hzの残響時間の分析です。

一番上のグラフはインパルス応答です。2番目のグラフは音圧レベルのDECAY CURVEです。3番目のグラフはシュレーダー法です。インパルス応答を2乗して積分した形となります。2番目と3番目のグラフは残響分析に使用します。シュレーダー方のピンクのカーブは0.68秒すべてに対して通常のシュレーダー積分をおこなっています。赤のカーブは補正を行っています。青の直線は残響減衰を直線回帰して求めています。

Tsub60は初期反射音が到達してから、音圧レベルが60dB減衰までの残響時間を調べます。シュレーダー法で、2本の緑の点線の区間です.最初の点線は初期反射音の到着時間以降この例では、50msecです。次の点線は60dB減衰した地点1750msecを直線回帰して、求めています。1700msec、すなわち1.7秒がTsub60の値です

残響時間はオクターブバンド(周波数)により違い、500Hz帯では、ここでは1.7秒です。プログラムはデジタルで計算する関係から、シュレーダー法で自動計算しています。ここでAUTOのチェックと50パーセントというのは、測定時間0.683秒の後ろ半分を不用とする指定です。インパルス応答はある程度長い時間測定が必要で、長ければ長いほどいい。その反対に、シュレーダー法は必要最小限の区間で、計算しないと測定のSNが悪くなります。そのため工夫したパラメーターです。

また 残響曲線の回帰レベルをAutoにした場合、最適な回帰レベルを求める仕組みとしては、
ノイズ区間の平均レベルより約5dB高いレベルまで減衰した時間までを有効なデータとして回帰直線を求めています。

500Hz 相互相関関数です。X軸のプラスは右信号の進みを、マイナスは右信号の遅れを意味します。IACC=0.34

1000Hz、IACC=0.19

2000Hzです。IACC=0.48、τIACCは-0.21です。IACCの山のピークの鋭さは周波数が高いほど、傾斜が急です。そのためWIACC、ピークから10パーセント下がったところの時間軸上の巾は主に周波数をあらわしています。WIACCは低い周波数成分が多いほど大きな値をとります。

一般にコンサートホールで、IACCのピークが左右にずれていると、視覚上の音源の位置と、実際聴覚上の音源の位置がずれることを意味し、あまり大きくずれると良くないとされています。またIACCの数値は、そのピークが低ければ低いほど、音に広がりが出て、いいとされています。IACCがたとえば極端に1ということは、左右の耳にまったく同じ信号が入ってることを意味します。両耳の情報の差で分析できないから本能的に嫌がると考えれば、わかりやすいと思います。

この図は全周波数をパワースペクトラムで、表示しています。この位置、No.5の場所での周波数特性です。

500Hz帯のみの場合mのパワースペクトラムです。

プリファレンスカーブです。τeのプリファレンスが高い(望ましい)のは、τe40以上です。最適なτeの計算結果は88msecです。この座席はτeの長い曲に向いています。(クラシックのコンサートホールです)

τeと曲目と最適τeの関係は「オーデイオ測定レポート3」を参照してください。

音響パラメーターSPL(音圧レベル)、周波数のグラフです。

音響パラメーターTSUB60(残響時間)、周波数のグラフです。

音響パラメーターIACC(2CHの相互相関関数)、周波数のグラフです。全周波数、あるいは周波数ごとの音響パラメーターの値がグラフ表示されます。

June 2003 by Masatsugu Sakurai


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