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ジェット旅客機通過音
(航空機騒音分析テスト2)

2005年4月9日加筆修正 この測定は2003年時にジェット旅客機の住宅街通過時の音を音響分析を行ったものです。分析テスト1と同様に最後に加筆します。(オリジナル)

名古屋空港へ着陸する飛行機が住宅街の上をとおっていきます。測定場所は平和公園です。名古屋は東名高速 名古屋インターから少し西に行ったところです。比較的、飛行機騒音はうるさいので、できるだけ山とか野原の上をとおるようにしているようです。

この平和公園は名古屋市東部の丘陵地帯に戦後作られた大きな墓地です。名古屋空港まで20kmくらいですから、飛行機の高度はかなり下がっています。時速500kmの飛行機は、20kmを約2分30秒くらいで到着してしまいますから、着陸2~3分前です。最近はどこもかしこも家が建ち、飛行機の進入路周辺では環境騒音に悩まされていると思います。

 
マイクと、騒音計です。 57dB 公園ですから、また車も少しは近くにきますし、この程度のバックグランドノイズです。これは飛行機の騒音と比べたら、まったくかわいいものです。なんの妨害にもなりませんね。
hei002 バイオノートとRAE ですね。 太陽光線とTFT液晶でやはり、見にくいですが、1/3オクターブで、通常のバックグランド     の騒音分析をしています。

 

温度と湿度計ですね。19C で、48パーセントの湿度ですね。

 

ジェット機が接近だいぶちかずいています。木が映るので、この瞬間までまちました。

 

さらに通過中です。真横を通過中です。

 

通り過ぎかけています。

 

だいぶ離れていってしまいました。

 

さらに離れたので、公園の景色といっしょに撮れました。

 

その続きです。

 

夕方の測定の機体です。

 

そのもう一枚です。

 

ランニングACF測定です。現場でリアルタイムに測定しているので、積分区間を0.2秒で設定していますが、SAの分析時に2秒で再計算させます。

 

air2.wav (44.1kHz / Stereo / 30sec / 5.04MB)

音響分析システムでの再計算時の計算条件です。

Φ(0) 音のエネルギーはこの図をみていると音量差は20dBAです。30秒間の測定ですが8秒から10秒の音が下がっているようです。

τeは小牧空港のときとほぼ同じ 5msecです。このときの周波数を調べるために1/3オクターブ分析してみると、

代表周波数は1KHz、2KHzあたりのようです。

これはドップラー効果でしょうか。前回の測定時も、同じ波形が記録されています。

ピッチの強さは、前半の0.2と14秒後の0.4が目立ちます。

ACFの波形です。測定開始後8.2秒のACFです。この場合は最初のピークが0.6msecにあり、1.9msecに大きなピークがあります。それぞれ1.5kHzくらいと、600Hzくらいのピッチです。

 

2004年8月8日加筆

 DSSF3の機能を活用して、WAVEと、スペクトラムと、ACFを対応させて再分析します。実際の操作について最初に、ジェット旅客機の音のWAVEファイルをインターネットを使用してダウンロードの方法から説明します。

この入門の事例は、そのデータとDSSF3を使用して、まったく同じに動かしてみることができます。WAVEデータはデジタルデータですから、分析すれば、まったく同じ結果が得られます。

WAVEファイルをダウンロードして使用するためには、まずお使いのパソコンのハードデイスクに持ってきます。そのためには具体的にはまず以下の WAVEファイル名のところをマウスで右クリックして、命令から”対象をファイルに保存”の命令を選んで実行します。 そうすることによりダウンロードできます。右クリックではなく、通常の左クリックを行うと、air2.waveを実行することになり、WAVEファイルの再生をおこなうことができ、パソコンのスピーカーで音を聞くことができます。

air2.wav (44.1kHz / Stereo / 30sec / 5.04MB)

この場合は、対象ファイルの保存を選択すると、名前を入力させて、どこに保存させるかを指定させるための、名前をつけて保存のボックスのWindowが表示されますから、 ここでの入力としてはフォルダーとしてはMy Documentの中の My Musicあたりに保存することにして、ファイル名としては変える必要がないので、この場合は air2.wave  と入力しておきます。

 

ここで、保存をクリックすると、エクスプローラーの機能で、ファイルがダウンロードされます。

次はこのファイルをDSSF3のRAに読み込みます。読み込むためには、RAのランニングACFの機能の画面で、LOAD命令をクリックし、ここで、WAVEファイルの入力を指定して、今保存した、air2.waveファイルを指定します。

 下の画像は、データを読み込むための”ファイルを開く”Windowです。この画面はランニングACF測定画面の右上のファイルのLOADボタンを押して、WAVEファイルの取り込みを選択 すれば表示されます。ここせ、以下のように、air2.waveを選択して、あらかじめインターネットからダウンロードして保存しておいた上のファイルを読み込んでください。

 RAのランニングACFの画面を開いた後、表示条件(ランニングACF画面の積分時間、ランニングステップなどの数値)を入力しておきます。

もっともこの入力は表示条件ですから、データを読み込んでからおこなってもかまいません。表示条件を変更すると、すぐ再表示されます。それによってグラフを目で読み取ることによって、ある程度はACFの波形を目で確認することでもACF分析の結果がわかります。

ただ、ACFの波形を分析したり、ACFの時間的変化などの分析はRAではできなく、SAでのみ可能です。

 

RA のランニングACF測定の画面は、二つのグラフが縦に並んでいますが、その上のほうの表示がACFの3次元表示です。Y軸が自己相関度、X軸が遅れ時間、Z軸が測定経過時間のランニングステップです。実際にリアルタイムな測定を行うと、これはACFのグラフがz軸方向に時間をずらしてリアルタイム表示されていきます。

また下のWAVE表示は通常の音響信号の時間的変化を表すアナログ表示です。VU計のように、振幅表示です。このアナログ波形というのは、音を電気信号にしたもので、スピーカーやマイク信号と同じです。音をマイクに入れれば入れてやれば、マイクからアナログ波形の信号が出力されます。スピーカーにそのアナログ信号をいれてやれば、同じ音を聞くことができます。

 

 上の画像で、実際に音を聞く説明をします。

この場合は、この画像ではわかりませんが、Replay  再生のボタンを押すと、このアナログ波形のグラフ中で再生中の場所が、再生にあわせて、緑の移動する縦線で リアルタイムに再生位置が表示されます。

 実際に音を再生して確認してみると。測定開始直後、1秒と、約4秒付近に子供の話し声が入っています。もちろん余分です。

ジェット機の騒音が、それらに比べて充分(15dB以上)大きい場合は、 分析には差し支えありませんが。ジェット機の音が小さい場合は、そういう雑音のないときを選びます。ただ、積分時間2秒の分析となると、まったくない位置を探すことは難しく、多くの場合含んでしまいます。ただ。積分時間2秒は長時間の平均を計算するので、子供の声が短ければ小さければ、ずっと連続的な、ジェット機の騒音の中では、無視できる数値になります。これ位は差し支えありません。

もっとも積分時間が短い分析の場合は、雑音のない場所を選んで分析し、また音響パラメーターに対する、雑音の影響を注意しておきます。

下の画像は測定データの保存のWindowです。ここでは右上のSAVEボタンをおして、測定データベースに保存しておきます。これはSAで分析するためです。この例では air2wave という名前でSAVEしています。

次にSAを起動して、この例では、airplane3 を選択していますが、今セーブしたair2waveを読み出します。

計算条件はテスト1と同じです。

SAでのWAVE表示です。これは通常のアナログ表示です。Y軸が振幅、X軸は、測定経過時間です。ちょうど測定開始後4.7秒が、グラフの下のデータテーブルで、選択されて反転しています。グラフでは青色の帯で、4,7秒の開始と、それから2秒の積分時間の間が表示されています。これはジェット旅客機の遠くから接近中の航空機騒音を指定しています。

このデータではジェット機の音としては、徐々に聞こえるようになってきて、5秒くらいから急に大きくなり、さらに近づいてくるジェット機の音が大きくなっていきます。これはWAVEの表示でも、実際のヒアリングでも簡単に確認できます。そのジェット機の音はちょうど測定開始後10秒くらいのポイントで、音が急に小さくなって、その直後に急に音質が変化し、音が大きくなります。これは比較的至近距離にきたときのジェット旅客機の音質です。またこの測定の場合20秒から24秒くらいがジェット機がちょうど真上を通過するして、それから引き続き24秒から30秒にかけて、離れて遠ざかってジェット機の音が小さな音になっていくのが確認できます。

 子供の声や、歓声など、あるいは自動車の音などほとんどの騒音が存在していますが、ヘッドフォーンなどを使用して確認すればわかるように、この録音は非常にクリアです。またジェット機の音色の変化を聞き分けられます。そのため代表点として数箇所、FFT分析や、ACF分析が必要です。

 

同区間のスペクトラム表示です。これはA特性を使用しての、分析ですから、人間の耳の周波数特性を加味しています。

 

同じく同区間のACFの波形表示です。下のデータテーブルでτ1が1.18MSECと、表示されています。ACFグラフの緑の点線もX軸のメモリはτ1の値です。これはA特性での分析ですからこのτ1の値は代表周波数です。A特性でACF分析した場合τ1は、知覚できる音の高さです。この場合、このジェット機の遠くからの近づいてくる音は、1000を1.18で割って、847Hz です。

 

 

これは、τ1の時間経過を表すグラフです。このグラフにより、前のτ1の周波数は、測定開始時点の0.8msec の1250Hz より 9秒後の2msec の500Hz に向かって下がる途中であることがわかります。この再生音を実際に聞いてみると、ちょうど9秒くらいのところで、ジェット機の音が変化しています。これは、接近中の音質が大きく1度変化することを、あらわしています。また18秒から23秒くらいは、ちょうどマイクの上あたりを通過するときの代表周波数の変化です。

 

この分析区間に対応して、φ1や、τeなどを調べることができます。

測定経過時間や、ジェット機などの位置に対応して、細かく分析していくこともできます。

この分析このまま続けるとすれば、次は、上のグラフから10秒から18秒くらいまでの、データを一箇所か2箇所同様に調べてみます。

 

 音響分析については

1.アナログ波形からも、情報が得られますが、

2.RAに付属しているオシロスコープなどを活用すれば、再生と同時に、オシロスコープ測定を行い、オシロ表示画面によるリアルタイムな波形表示も可能です。

3.これらの全周波数での測定よりも、さらに進んだ方法として、周波数別にわけて、音圧レベルを実際の耳などの反応に合わせるために平均の計算区間を定めて、フーリエ変換を行って、FFT分析が必要です。これはスペクトラム分析です。

4.ただスペクトラムにより、大きく周波数成分の分析が進みますが、実際の音響分析では、音の変化や残響や、左右の耳の音の違いなどという分野の分析が必要で、それらの値を分析するには、連続的な音響信号の音の変化に着目して分析できる方法が考え出されました。自己相関を利用した方法です。自己相関の持っているτという遅れ時間を分析に導入することにより、フーリエ変換よりもさらに高度な音響分析が可能です。

 あらかじめWAVE表示と、実際の音の関係を確認しておきます。 測定画面のreplayボタンで、何度でも分析対象の音を聞きます。またビデオなどの画像があれば、それも活用できます。

2005年4月9日 加筆修正開始。

WAVEファイルをレコーダーに読み込みました。30秒のデータですから、これを測定画面の表示幅の20秒に編集します。 もちらん30秒のまま分析しても最初の5秒は消えていきますから、同じことですが、ここではレコーダーの編集作業の確認もかねて、20秒に編集してみます。マウスを振幅0で、時間がゼロのあたりにもっていくと、マウスのカーソルが範囲指定のマークに変わります。

その段階で、左右にドラッッグすると、空白の範囲(削除部分)が指定できます。 

そこで、CUT(切り取り)のボタンをクリックして、10秒分削除します。ここで、続けて後ろも削除して編集するということもできます。ここではしませんが。

これで20秒のデータができましたので、FFTのスペクトグラムをMAXの20秒にして、スタートボタンを押します。Direction of Axis 方向をFwdにして測定すると、時間軸の方向が通常の方向になります。測定中の画像は右から左に流れていきます。

このスペクトグラムはFLATで測定しています。ぱっとみて着陸時とくらべて周波数成分が高い周波数の部分が少ないですが、ジェット機が飛ぶのが上空ですから、至近距離での着陸と比べて周波数成分が低いのは当然うなずけます。 さてもどってこの分析結果の場合は高周波成分は4KH以下ですが、また人間の耳の感度を加味した特性のA特性で測定表示を行えば、高域、低域が減衰し、さらに周波数帯域が狭くなります。  

このスペクトグラムの分析を調べてみると、この分析は、WAVEからでなくても直接マイクからでもできるので、従来、の2次元のスペクトグラム表示は、比較にならず、また3次元表示とくらべても圧倒的にこのスペクトグラムは優れています。それはカラーの活用効果ですね。

仕組み的にはスペクトグラムの周波数、音圧レベル時間の分析表示は、表示は3次元ですが、あくまで、FFT分析の結果表示です。あくまである時間 きりとった、音響信号の周波数の音圧レベルの分析です。というのは実際の音響信号には、信号成分や、メロデイーや旋律など、強弱や、周波数成分などの時間的変化により、付加された情報が含まれているからです。そのための分析には、最初から音響信号を時間という変数も含めて、信号として扱う必要があります。ACF分析による、周波数成分と同価な、周波数や、音圧レベルがそうです。それぞれ遅れ時間τがゼロのとき、FFTと同値になります。ACFによりわかる新たなパラメーターとしてはピッチや、響き成分(これは残響のようなもの)などが分析結果として求められます。  

測定別にまとめると。

1.可聴帯域を通常の音響分析の範囲で分析するならば、リアルタイムスペクトグラム測定はレコーダーなどと組み合わせて使用して、最も重要な測定です。 すべての音響分析では、まずスペクトグラム測定をおこない、レコーダーを駆使し、FFT分析を行い。後にランニングACF分析で、高解像度分析を行う方法に変えようと思っています。そのほうが楽で、分析レベルがあがります。

2.可聴帯域を含めて、音響分析をひろい範囲で行う場合は、マクロな測定をスペクトグラムで行い。ミクロな測定をランニングACF測定を組み合わせて行います。

3.もっとも広いいみでの周波数と、広い意味での音響分析をおこなうには、最初からランニングACF測定分析をおこなうしか方法がありません。これは手間がかかります。またそれなりに知識も必要です。その分野のためには音響分析をこえた、信号処理、パルス処理のようなリアルタイムアナライザーの実現が必要です。同様に環境騒音の測定用としてはこの騒音の有害性つまり人間の聴感(大脳が受ける刺激としては)、ACF分析のτ1(ピッチ基本周波数)、φ1(ピッチの強さ)と、Φ(0)音の大きさ、時間の長さ(被爆時間)により、重み付け総和を計算して簡単にリアルタイムに評価を行えるようなソフトが必要です。

2005年4月9日 加筆分終了

January 2002 by M.Sakurai