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 RAの利用分野としては、オーディオ用として、スピーカーの周波数特性の測定をピンクノイズと1/3オクターブバンドアナライザーで行うことができます。それを利用すればスピーカーのクロスオーバーネットワーク、設置、アンプの調整も、リアルタイムに精密に調整することができます。

歪みの測定には、正弦波などのスピーカー出力あるいはミキサーなどの波形をオシロスコープで実際に目で見て確認できます。ミキサーからスピーカーまでの増幅をオシロスコープ等で調べることで、ハムや誤接続からの高価な機器の破壊を防ぐことができますし、機器の故障なども知ることができます

電気音響に携わる方にとって、音響ゲインの増大、音質の改善を目的とする拡声装置のイコライジングはイコライザーの調整の結果を耳で聞くだけではなく、リアルタイムに目で見ることができます。1/3オクターブ分析により、1本の特性曲線の測定が20分から20msecで済むようになり、仕事内容が劇的に変化します。現在、最も有用なオーディオ測定器のひとつであるといえます。

SA,EA の分野としてはコンサートホール、ホームオーディオ、カーオーディオの測定、楽器のチューニング、航空機騒音測定、自動車騒音測定、トイレ騒音の分析、楽器曲分析などの音響測定から、日本語音声認識、モーターの性能測定、エアコンの音の測定、心音測定などが「音響測定入門」に、高時間解像度な音響パラメーターを複数使用した分析例として挙げられています。

音質評価技術応用 工業製品の音質評価
工業製品の音質改善
音源同定技術応用 話者識別、音声認識
楽器音識別
音楽の自動採譜
信号分析技術応用 異音診断、製品検査
生体計測
音響 建築音響、心理音響
工学 振動解析、電子計測
ライフサイエンス 高次脳機能の解明
感性情報処理 デザイン、データベース

とくにDSSF3の開発に力を注いで、新しい分野の研究に役立てたり、時間分解能を必要なレベルまで高めたり、機能向上に努めています。DSSF3ニュースに随時、更新情報を掲載しています。

▼ WaterFall図

3次元表示 (時間、エネルギー、周波数の3D表示)
ステレオ2chで時間分解能や周波数分解能に重点を置いた複合領域表示ができます。3次元表示は装置の過渡応答を調べるために有効で、イコライザの動作と比較すると最も啓示するところが大きいのです。これで定常状態と過渡状態の応答が同時に観測できます。いろいろな信号が利用できますが、分析用にはスイープの正弦波が適しており、それを使用してスピーカーの応答特性を分析することが可能です。

▼ オシロスコープ


メーターまたは分析器で正しく見える測定が、オシロスコープで見ると過負荷になっていて驚かされることがあります。オシロスコープとシグナルジェネレータを組み合わせて使用すれば、正弦波などの試験信号でパソコン内部の増幅用アナログアンプや、AD/DAコンバーターのダイナミックレンジ設定ミスによる歪をチェックすることができます。チェックした結果、ソフトミキサーのソフトボリュームや、AD/DAコンバータのプログラムボリュームの調整を行うことができます。信号の正確性の確認は測定の基本です。測定データを記録するには「スクリーンコピー」を使用することができ、カメラによる撮影よりも簡単に記録を残すことができます。

▼ 1/3オクターブ

上図は DELL Inspiron7500ノートパソコンの周波数特性を表わしています。 数年前のDSSF3の測定Windowです。比べてみるまでもなくかなり高機能になってきています。以降、測定時期が古いので、古いDSSF3の画面での説明になりますが、測定の内容と、測定値に意味がありますので、あえて、そのままそのときの画像がのせてあります。 シグナルジェネレータのピンクノイズを再入力すると内蔵アンプの特性がわかります。

RA はリアルタイムアナライザー実時間分析です。0.2-2秒くらいの音響パラメーターをシグナル出力したり、スペクトラムやオシロスコープで測定表示します。(多機能音響測定器) SAはRAによって録音された音、情報をさらに1/10000-10秒の非常に広いレンジで信号の動的特性を高解像度分析します。(ランニングACF分析 信号解析)またSAは、同様に音響空間の各種パラメータを計算出力します。(インパルス応答分析 建築音響)

EAは、このSAの測定機能を、自動測定、検査などに生かせないかという願いで、自動化のための研究ソフトとして開発されました、測定対象を認識するための同定ロジックを持っています。非常に啓発されるものが多いソフトです。

 

▼ デスクトップ

ピークレベルモニタ、シグナルジェネレータ、オシロスコープが同時に動作しています。



▼ スピーカー周波数特性分析 (RAL/RAD/RAE/DSSF3)
SONYのコンデンサマイクロホン ECM999の周波数特性表を見て、特性のカーブが同じになるように入力してマイク補正として保存したものと同様なものを使用します。今回使用するパソコンが違うので、再度同じように設定しました。
VAIO側でのRA(リアルタイムアナライザー)のSG(シグナルジェネレーター)で18kHzの正弦波を出力します。
VAIO側でのオシロスコープで18kHz正弦波をモニターしています。これはミキサーの出口での波形のモニターです。試験信号はミキサーからヘッドフォン兼用のアナログ増幅アンプを経由して、ヘッドフォン出力端子からそこにつながった、アキュフェーズC290プリアンプのLINE2に入力されます。その後A50パワーアンプとそれに接続された、WATTを鳴らします。

▼ インパルス応答分析 (RAD/RAE/DSSF3)
まず入出力の「レベル調整」がうまくできているかチェックがします。ここでOKが出ないときは、インパルス応答測定以前の問題がシステムにあります。
パソコンを測定器として使用するにはマイクなどの補正が必要です。RADにはマイクやマイクアンプの感度及び、周波数特性の補正機能があり、補正情報の保存と簡単な呼び出し機能を持っています。マイクなどの補正データは複数保存することができ、いつでも簡単に呼び出すことができます。これは一度行えば済むため、高価な「精密1/3オクターブアナライザー付き2ch騒音計」を手に入れたのと同じことになります。
そこまでしなくても、このシステムは比較的低い音量で、簡易な機材でも測定を行うことができます。
計算条件設定。通常は残響時間の計算のための近似区間は最初の10dBAで、雑音レベルのカットする区間は後半の30%部分をカットするという設定でよいようです。
SAによる分析結果、インパルス応答
残響時間の分析結果
シンクロは同期加算をテストしています。この例は99回同期加算しています。
これは実際の測定結果です。測定ポイントが多く、満席、空席、音源の位置などの条件がいろいろあります。このシステムは専用のデータベースに次々とデータを保存できるので、測定条件単位にフォルダーをつくって、備考にメモを記入しながら、座席の測定条件単位にデータを取っていきます。日時や設定などは自動的に記録させるため、続けて測定していくことができます。
正確な測定を求められる(1/10 津山)模型実験の実際のデータです。同期加算を20回行っています。サンプリングレート48000(画面左下に表示されています)で使用しています。2ch測定です。測定時間0.683は実社会では10倍して6.83秒にあたります。この場合は1/10の2chのダミーマヘッドマイクロフォンを使用しています。きれいなインパルス応答のデータがとれました

▼ ランニングACF分析 (RAD/RAE/DSSF3)
「音の好み調査隊」内の「音の響き試聴室」にピアノ曲のテスト音源(モチーフ)があるので、それを分析します。

ピアノ曲の分析です。積分時間は2秒、ランニングステップは0.1秒刻み、タイムレンジは0.5秒で計算表示させてあります。ピアノ曲の積分時間2秒は、人間の脳がピアノ曲を聴くときに、うっとり音楽に身を任せているときの時間窓の大きさです。3次元表示は、音楽をスムーズに表示するには最適です。

計算条件です。
これがランニングACFの分析結果です。

ランニングACFの画面です。
ピアノ曲を0.01秒の積分時間で、5/1000秒ステップで、再分析するための計算条件です。
積分時間0.01秒は「日本語音声の分析2」から行っている時間軸の解像度を高めた分析方法です。この5個のグラフの最初のグラフΦ(0)は音圧レベルを、を0.01秒間隔ごとの平均値を求めています。
Φ(0)音圧レベルのグラフをY軸の音圧レベルと時間軸で、それぞれ0.2秒後から1秒までの間を拡大表示してみました。ピアノのキーを弾いたときと、音の減衰状況が測定されています。
測定開始後0.2秒のピアノの1タッチについて拡大してみました。ここではY軸の目盛は0.5dB単位、X軸の目盛は0.01秒単位で

▼ 環境騒音分析 (RAD/RAE/DSSF3)

「航空機騒音分析テスト」では最後にRAを使用して「1/3オクターブ分析」を行いました。
ジェット機の騒音には、ほとんどすべての周波数の音を含んでいます。特に1kHzから6kHzまで、ほぼフラットな音圧レベルです。このためジェット機騒音は周波数成分としてはホワイトノイズに近いといわれています。
ジェット機の騒音のパワースペクトラム表示です。縦軸、横軸表示をマニュアルで指定して2kHz近く(ここでは1.7kHz)のピークを確認しやすくしています。
ジェット機の騒音は周波数成分的にはホワイトノイズと似ていますが、一般には2kHz近辺に強いピッチを持っているといわれています。

 

これは測定後1.6秒経過時の自己相関の波形表示です。表示のピークの遅れ時間は0.6msecです。これは1.7kHzの周波数です。このピークが遅れ時間が一番少ないところのピークで、このピークの高さはピッチの強さを表しています。
ジェット機の騒音成分は、自己相関のピークとしては音声信号の領域に入っています。最近、音声認識で行っている非常に短い時間窓の分析、積分時間、ランニングステップ、遅れ時間をそれぞれ10msecでジェット機騒音を再計算させました。
そうして得られた自己相関のグラフです。この例はτ1が0.14msecで、7kHzのピッチの例です。
SAによりワンタッチで作成された自己相関、相互相関から得られるパラメーターのすべての時間的変化のグラフです。この図のACFのグラフは測定後0.68秒のものです。この場合約5kHzのピッチが強さ0.37もあるはっきりしたものです。
騒音の影響の程度は、聴覚上の周波数感度に比例します。またそのとき自己相関の最初にピークを持つときに、その遅れ時間が少ないほど、またピッチが強いほど(ピークが高い)大です。そのピークが周期的に出現、消滅を繰り返すと、その間隔が信号としての意味を持ってきます。それが会話や音楽などに似ているほど大です。音量の変化はもちろん大です。この7.15秒後のデータは最大音量時であるとともにこれから、7k、6k、5kHzと順番にジェット機がこちらに近づくほど、非常に強いピッチでありながら、ピッチの周波数を下げてきます。
τ1の時間変化です。最初のピークの遅れ時間の時間的変化を表しています。この値の大きな変化は音声認識のときの「あいうえお」などの違いと同様な信号の変化を意味します。その場合1.5kHzから5kHzまでの周波数が、最も大きな刺激を脳に与えることになります。