可視化システム(音響CADシステム)

建物の室形データ等の情報を基に音の拡散・反射状態を三次元グラフィックスでビジュアルに表示することができます。これが可視化システムです。
音の残響時間、壁面の吸音力等のファクターと、設計するホールの室形データを入力し、実際に建物を作らなくてもコンピュータでシミュレートすることができます。これは、音楽ホール等の音響設計を行う場合、コスト削減ならびに設計段階での品質向上等に絶大な威力を発揮することができます。これからの時代をリードする建築音響に携わる方の意志決定支援システムになると自負しています。
現在、ワークステーション上での実用化を実現しており、建築会社の研究機関、国立大学の研究室、電気音響の設計室等で使用されています。

[虚像法計算結果の出力例]

■音響シミュレーション機能

音響シミュレーション機能には音を可視化するための方法として音線法、虚像法の2種類があり、それぞれ目的により使い分けることが出来ます。

音線法:
音源からの音線の拡散状況を可視化するために使用します。音線の発射方法には全方向発射(音源から全ての方向に音線を発射する)、立体角発射(音源から円錐状に音線を発射する)、平面内発射(音源を通る任意の平面に音線を発射する)などがあり、目的に応じて最適な発射方法がお選びいただけます。音線法による計算結果を音響透視図・天空図で表示して音線全体の拡散・反射状況を確認するだけではなく、指定時刻における反射点・それぞれの壁面での音線密度を表示して音線の飛行分布状況を細かく調査できます。



虚像法:
受音点に到達する音線を到達時間別/入射方向別に可視化するために使用します。この虚像法計算結果からエコーダイアや仮想音場再現に必要な可聴化データを作成します。エコーダイア・音響透視図・音響天空図を併用し到達音線一本一本の経路や到達時間・音圧レベル・入射方向・反射点などが調査できます。



音線法・虚像法シミュレーションでは、代表周波数を適時選択することによって特定周波数での可視化をサポートしております。

■3次元グラフィックス機能

室形のグラフィックス表示にはわかりやすい平行投影3次元ワイヤーフレームモデルを使用していますので、室形全体の状態やシミュレーション結果の音線飛行・拡散傾向が一目で確認できます。さらに、多彩な3次元グラフィックス機能により、表示している室形オブジェクトの回転・拡大・縮小はもとより、部分拡大・平行移動・視平面での切り取りなど様々な視点・角度から表示でき、シミュレーション結果の比較・検討にお役立ていただけます。
音源の位置・指向性や吸音材設定など室形オブジェクトの変更や音線発射方法の変更などのすべての操作はグラフィックスと連動していますので、操作の結果が即時にグラフィックス表示に反映され視覚的に確認できます。

シミュレーション結果の表示には次のようなものがあり、目的に応じて使い分けます。

音響透視図:
室形を上空から見た図で音線の拡散・飛行状況などを確認する。

音響天空図:
室形を中から魚眼レンズで見た図で受音点から見た室形内部の様子や音線の反射点を確認する。



エコーダイアグラム:
受音点における音線の入射方向・音圧・到達時刻などを確認する。



客席面音線到達密度分布:
特定時刻の客席面における客席面の音線到達密度を確認する。


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