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本格的に活用するために-3
DVとWAVEファイルからランニングACF測定
自動車の排気音やエンジン音を測定するために最初に行った方法は、パソコンやマイクを駐車場に持ち出して測定しました。しかし、屋外の測定現場はパソコンを操作しづらく、操作音が入ってしまうのと、それらの操作で測定の流れがいちいち止まるのが気になりました。また、あとでデータの整理をすると、測定時の状況の把握が難しく、もう一度やり直しということもありました。
そこで、何度でもやり直せるようにマイクアンプに使用していたDATで同時に録音し、それを使用することもやってみましたが、測定対象が同じような音の場合、聴き分けがつかなく、やはり実験の手順などの同時記録された画像の必要を痛感しました。そこでDV(デジタルビデオ)でビデオ撮影をはじめたのです。
SONYがDVをパソコン(VAIO)を統合して使用できる環境を確立していますので、すべてデジタル処理できることから、DVだけでもいいのではと考えるようになりました。コンパクトなDVカメラだけで済めば、屋外では特に便利です。録音データに画像が入っていれば、なにを測定したのかも一目瞭然です。録音品質の優れたDVカメラを購入してDV主体に変更しました。
DATの場合、通常のサウンドドライバーではアナログなので、測定システムに取り込むために、パソコンへの取り込み段階での音質が劣化するのが不満です。DATから直接デジタル入力するサウンドカードもありますが、ノートパソコン用がありません。デジタルビデオ(DV)は専用のインターフェース(SONYのiLINKなど)で画像も音もカンタンに取り込むことができます。ただし、DVのインターフェースも音質的には最善ではありません。あくまで、屋外で機動性や画像を要求されるときに限るべきです。
- 音質を重視する場合はWAVEファイルを直接分析
- WAVEファイルを直接読み込めば、データベース化したり、再生したり、そのまま直接分析をおこなうことができます。
- RA(リアルタイムアナライザ)のレコーダーを使用
- そのためにはは直接RAを使用するのがベストです。計測事例では、ほとんどこれを使用しています。通常は録音主体で行い、あとで再計算を行ないます。
- 録音主体で行う場合
- 積分時間を短くします(畳み込み積分の区間ですから、短くすると速度は二乗に反比例します。遅れ時間も短くします。(これは通常の自己相関の手法は積分時間の分だけデータを取ってきますが、このシステムは積分時間と、データを取ってくる時間を別々に設定できます。ランニングステップ(測定時間刻み)は大きく、できるだけ測定時間を短く(これは測定によっては、できるだけ長く取りたい)します。
計測事例がほとんどこれを使用しているわけは、これが測定システムと同時に動かすことができる、リアルタイムのレコーダーだからです.測定しながら、録音できるので、あとで、しまったということが無いのです。測定するために、測定機無しで録音するのと、測定しながら録音するのは、まるで違います。
- ユニバーサルデータベース(音と測定年月日、時刻、RAの設定がすべて同時記録されるデータベース)
- DATにしろ、サウンドレコーダーにしろ、音を媒体やファイルでもっていても分類整理が大変ですから、RAの測定データベースに取り込んでしまいます。この測定データベースは音響信号と、テキストデータがひとつに管理されるユニバーサルデータベースを使用していますので、測定条件と音が同時にデータベース記録されるため、非常にすっきりした音響研究の環境が構築できます。
測定の腕は録音の腕にかかっています。音楽が好きで、テープやMDに上手に録音をできる人は得意なはずです。
最後に、最も基本的なランニングACF画面のデータ取り込み機能を使用しての測定例をご紹介しておきます。
入力などのボリューム調整を終えた後で、
- 音がもつ種々の情報を取り出すためには、まず「ランニングACF測定」を使用して、データをコンピューターに取り込んでください。1回に30秒まで取り込むことができます。そして一旦データを保存します。
- ランニングACFの中にデータを再生する機能がありますから、再生しながらリアルタイムアナライザーの「パワースペクトラム」「1/3オクターブ」「3次元表示」「ACFのリアルタイム表示」「オシロスコープ」などで、通常の音響計測を行ないます。あとで確認が必要になった時でも、保存されたデータを使って、いつでも再測定が可能ですか安心です。
パワースペクトル
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1/3オクターブ
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3次元表示
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相関関数
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オシロスコープ
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- そして、SA(サウンドアナライザー)で分析してください。従来の音量の時間的変化のグラフや、ピッチ(基本周波数)、ピッチの強さや、響き成分、音源の周波数成分、方向情報など最新の分析が誰でも簡単に行なえます。これは人間の聴覚と大脳の働きをシミュレーションするもので、これらの分析を行なえば、人間の脳が行なってるような、高度な情報処理のもとになる、音響信号の中のキーを取り出すことができます。